世間はコロナウィルスで右往左往してますね。
ビルメンが右往左往する大きな事態は次です。
- 災害時
- 宿直者が突然休み
宿直者の件は置いておいて、今回は災害時についてのお話です。
災害時のミッション
激甚災害要素が多い日本で生まれ育ったビルメンです。
設備、ひいては建物を維持管理する一翼として、日々働いています。
激甚級の災害による建物や設備の広範囲な損壊はあまり経験していません。
ただし、どこの現場においても、激甚災害で想定される事態に備えてある程度、考え方やマニュアルが整っています。
想定される事態の一つに激甚災害があります。
- 地震
- 津波
- 台風
- 洪水
等など、被害が大きな災害になり得る要素は、日本は豊富(残念ながら)ですよね。
こんなとき、ビルメンはどう動くべきなんでしょう。
確実な正解はありませんが、方向性というか指針は簡単です。
身を守れ
この一言です。
身を守るために、現場には必ず、緊急時のマニュアルが各種あります。
このマニュアルの理解度を高めておくことも身を守ることに繋がります。
ウチの現場は誰も作成してくれないので、大部分は私が作成しました。。。
身を守るとは
身を守るとはつまり、人命最優先ということなんですが、自分の命?他人の命?
考え方としては両方の命を守る、です。
ただし、優先順位としては 他人の命 > 自分の命 なイメージです。
何故ならば、災害時にビルメンが設備の適切な運用を誤ると、多数の人を危険に晒すからです。
災害時の運用
災害時のざっくりとしたビルメン行動指針です。
- 災害発生の認知
- 災害による被害の予測と判断
- 予測に基づいた設備の操作
- (場合により)避難誘導
- (場合により)施設の放棄(避難)
以下で一つ一つ説明していきます。
災害発生の認知
災害が発生したことの認知、これがすべての始まりです。
ビルメンの溜まり場である中央監視室には、次のような監視装置があり、大きな災害の認知は容易です。
- 中央監視装置
- 防災監視盤(地震や火災)
- EVL制御盤
- 電力監視盤
- 放射線監視装置
- セキュリティ監視装置
- TVによる速報
- 電話による入電
(モノによっては警備室に設置されていることもあります)
ここで、災害であると認知されれば、次のフェーズに入ります。
災害による被害の予測と判断
災害の程度にもよりますが、早急に予測を立てることが重要です。
災害に依る影響は大きいため、素早く動いて影響範囲を最小限に留めることが、最小限の被害に繋がります。
そのために、下っ端ビルメンは現場に走り、状況確認に向かいます。
全速力です。
もし地震でエレベーターがー止まっている中、10階20階に急行となった場合の疲労度はお察しください。
各種監視装置から得られた情報と現地の状況確認により、対処の判断を下します。
(警報種類によっては現場確認前に素早く対処することもあります)
得られた情報から、所長や副所長等の経験豊富な人がいれば適切な判断ができると思います。
残念ながら、夜間、宿直者が頼りない場合、誤った判断になることも。
電話がつながらないと、めちゃくちゃ心細いです。
予測に基づいた設備の操作
例で説明します。
エレベーター
地震時は自動停止し、自己診断をする高機能なものから、手動で停止しなければならないタイプもあります。
モノによりエレベーター屋が来るまで復旧不可。
防災設備
火災が発生すれば、避難放送や防火設備の起動。
防災設備は連動して動く事が多いので、一旦火事になればほとんど操作不要で動作してくれるスグレモノ。
ちなみに、避難誘導もビルメンの大事な仕事です。
災害時モードへの切り替え
インフラが止まった場合の災害時は 、災害時専用のモードが用意されており、中央監視装置から切り替えができたりします。
非常用発電機による発電で、最低限は必要な設備に給電してくれます。
基本的には、電力会社からの配電が停止していない限りは非常用発電機は動かないのですが、手動で投入することも可能です。
この非常用発電機も定期的に試運転してメンテしています。
避難誘導
防災設備の例でも挙げましたが、ビルメンは避難誘導します。
これ、結構怖くて難しいです。
災害の中、自分は逃げずに他の人を誘導する必要があります。
また、誘導先とその経路を間違えないようにしなければならないプレッシャーもあります。
津波の到達が予想される状況で、地上に誘導したら一網打尽(誤用)ですよね。。。
何でもかんでも外に誘導すれば良いわけではないんです。
最後に、誘導担当のフロアに人が居ないか声掛け確認を行った後、やっと自分が避難できます。
ですので、施設を利用する人が避難経路を普段確認しておいてくれると非常に助かります。
施設の放棄(避難)
ビルメンは底辺職で使い捨て的なイメージが強く人間扱いされませんが、一応人間なので、場合によっては逃げることも許されています。
最初に書きましたが、人命最優先なのです。
管理している建物を放棄して、特に、建物を司る中央監視室を放棄して逃げるのは相当勇気がいるというか、後ろ髪を引かれる思いになるでしょう。
幸いにもその経験はありませんが、備えておく必要はあります。
(あと10cm水かさが増したら監視室放棄、という避難一歩手前はありました)
緊急時の人員
台風のような、予め来ることが予想されるものについては対処をその時々に応じて行います。
被害を最小限に抑えるために土のうの設置、設置物の撤去、漏水対策、人員調整等。
ただ、災害は突然に発生することもあるため、瞬時の判断と対応が必要です。
こんな時、2・6・2の法則です。
2割の人:突発の事態にも対処可能(判断できる)
6割の人:判断をもとに作業ができる
2割の人:指示があっても作業ができない
突発的な災害時、2割の人の判断が重要になります。
夜間で、人員が薄い時間帯は、基本的に2割の判断ができる人が一人は泊まることになります。
2割の人が判断し、力量に応じて作業を振り分けていきます。
問題は作業ができない2割の人。
日常的に決められた作業しかできないので、設備の理解が足りず、日常点検の範囲しか作業ができない。
この2割の人を上手く指揮できるのか、居ないものとして考えるのか。
災害時に余剰人員は無いはずなので難しいところです。
夜勤明けで朝帰宅している人は、専門的な知識を持った人で、無事に夜間の任務を終了した人かもしれません。
生暖かい目で見てあげてください。。。
宿直者についての記事は以下で書いています。
buildingmaintenance.hatenablog.com
まとめ
- 自然には勝てない
- 災害時は各建物に方針あり
- ビルメンは命をがけで最後の施設運営
- 普段から対応マニュアルを理解しておくことが重要